日本人に戻る

帰ってきました。


目が覚めたらちょうど黎明期でした。飛行機の窓越しに、朝が作られて行くのを見ていました。


沈み込むような深い藍と薄く光を放つ成層圏は次第にに赤味をおびていきます。果てのないような地上は墨のように黙って光を待っています。
地上を包む薄皮のような大気に光が満ちて、赤から透明な白までグラデーションが輝いています。突き抜ける藍の空、目を閉じて待ち構えている地上に大気の輝きが届き始めて、雲の海の姿が見えてきました。
太陽が赤い空気を突き破って白く鋭い光を投げかけるころ、地上に光がゆっくり落ちていきます。
ここから私が知っている朝が始まります。地上では鳥が目を覚まして鳴き交わしながら朝を楽しんでいるんだろうなと思いました。


機内食を食べながらどんどん日本語モードの自分に戻って行きます。こういう切り替え方もいいなと思います。もう、何度も往復しているのに、こんな朝を迎えたのは、初めてでした。


写真のバティックは、Wahyu Tumurun という名を持つモティーフです。古典の美しい柄に惹かれて、一度は諦めたものの出発前に駆け込んで手にしました。細かい意味はこれから調べますが、とても良いもののようです。次は出会えないかも!と思ったのです。プリントされたものも見たことがありません。手作業から生まれた柔らかで緻密な線。今回お世話になった踊りの先生達の細やかな心遣いや、辛抱強さ、緩やかな時間の使い方を思い出します。
自分の子供のように迎えてくれた先生達、短い時間に踊りのチェックをしてくれたLolyさん、私の兄であり無尽蔵じゃないかと思う位、踊りの知識を持っている自慢の兄貴です。私の大切な宝物です。