雲母の道

せっかく高地に来たのだから、ちょと位、山に登ってみようと思いました。
装備も用意してないし、履き物は普通の散歩靴。
その程度で行くにはハイキングくらいになります。

ゲストハウスに朝遅めの時間に迎えに来てもらって、
車で山頂の寺院を目指しました。
車で移動中、アメリカ大使館があり、周りと溶け込まないしっかりした
建物に怯み、(インドネシアでも警備は厳重)
ネパールの大統領官邸の質素?ながらしっかりした建物を
横目に見つつ、街を抜け、村に入ると
インドネシアのバンドン郊外にあるような建物に
ここはどこだ?と自分の幻視感覚に苦笑しつつ舗装の悪い道を
上がって行きました。

ネパール軍の敷地を超えるのかな?
警備兵の横を抜け、山道を登るのですが、植生を見ていると
日本にいるような、子供の頃の裏山を歩くような、さらに
頭がぐらぐらするような感覚に襲われました。
高地だから?植生はあまり変わらないのか?

ところどころで見かける樹の肌は、桜によく似てる。
夏の終わりのネパールで、桜に出会う?
手の届くところで写真を撮って、葉っぱの匂いを嗅ぐと
懐かしい匂いがする。
足元を見ればよもぎが生えていて、アルコールにつけてクスリにするようです。


たどたどしい英語で辛うじて会話をしながら砂利道を上がっていると
道がきらきら光っていました。
雲母かな?
光を通す、視線を通すような薄いガラスのような雲母のかけらが
道のいたるところで光っていました。

拾いあげれば重さのない風のような光のかけらです。
透かせば向こう側がほんのり見える。
お土産で、父さんからもらったなあ。
私が石や植物や変わったものに興味を持ち始めたのは
こうしたお土産からでした(笑)
世界の伝統に興味を持ったのは、タイのお面に驚かされたからだった。
あの時は小学一年生位だったろうか。あの時のお面、今でも憶えてる。
お風呂に入っていたら、父がタイから帰ってきて
わー!とお面をつけてお風呂場を覗き込んだのです。
赤い顔した目のギョロッとしたお面。冠つけたお面は
今思えばラーマヤナか何かの登場人物かもしれません。
あの時の出来事が、今の私に繋がってる。

拾い上げた雲母を元に戻して、風の渡る音を聞きながら
光のかけらを踏みしめて、山頂を目指していきます。