きれいなもの 造りものの美しさ
白玉石に映えていました。
差し込む日光に翠系の菊の花。
ほんとはこの奥には、大きな苔玉に桜の木をどんと植えてあり
こちらのほうは添え物だったのかもしれません。
白玉の清浄さにうねる曲線。生け花の美しさは
人工的な美しさ、つくりものの美しさ。
多くの人がいきかう時間に、日陰にひっそりと置かれていました。
一人外国の方が写真を撮ろうとしているのに気がついて
私も足を止めました。
漏れるように入ってくる日光は、蒼い空から降ってきたとは思えない
柔らかな光を投げかけていました。
雑然としたまちなかに、異空間のたたずまい。
こちらの桜はまだ、蕾をしっかり閉じて枯れ木の仮面をかぶっていて。
だからこそ、こちら翡翠の花たちが白い空間を切り裂いていました。
日の当るところは桜が満開。誇り高く青い青い空に白い、淡い紅を
突き上げています。
ソメイヨシノとて、人が生み出した種類なのだけれど
根を地面に張り、垂直に伸びゆく美しさと
中に浮かぶ根なし草。
相反する美しさを見た気がします。
