インドネシアのこっくりさん

ちょっと思い出したことなのですが。


中学の時にはやったのがこっくりさん
二人で一本の鉛筆を握り、目をつぶって質問されると鉛筆が勝手に動いて
エス、ノウを判断する。地域、世代によりバージョンが少しずつ違うような気もしますが
おそらく、小学校高学年から中学校にかけて、たいていの女の子が通るイニシエーション
(大げさですね)というか遊びがあったと思います。今でもあるかな。
このこっくりさんインドネシアバージョンを見たことがあります。
しかも伝統芸能で。


確か名前が NINITOWOK だったと思います。
日本でも知る人ぞ知るインドネシアダンサーの、ディディックさんがこの伝統芸能
作品化して、有名になったようです。彼のことを、Didik Ninitowok と呼ぶ人がいましたから。
私が見たのは一度きり。伝統芸能のお祭りに誘われて見に行ったのです。ジョグジャカルタで。
ヤシの殻で作った柄杓に、人形のように飾りつけして、何本か紐を付けます。
その紐の先をおばちゃんたちが握って歌を歌うのです。(4,5人だったかしら)
すると、柄杓がジャンプし始めるのですね。ぴょんぴょんと。
ちなみに私が見たのは昼間。飾り付けられた柄杓は色とりどりで、全然恐ろしくない。
歌もリズムも明るくて、楽しい雰囲気でした。こんなところに、何かが降りてくる。
ジャワ語を理解できない私は、ここから説明が難しいのですが
歌を歌いつつ、何か質問があったりすると、そちらのほうに柄杓がぐぐぐっと
倒れこんできたりするのです。倒れそうになったり、後ろにのけぞったり、
きゅうにすっくと立ってみたり。何かそれに意味があるはずなのですが
ジャワ語がわからない私は、質問が聞きとれなくってちょと悔しいのです。うう。
柄杓の紐を持ったおばちゃんたちは、柄杓を丸く囲んで座り込んで歌を歌い続け
真中で柄杓が踊ってる。それをまたたくさんの村人が囲み、はやしたてては
質問をし、笑ったり、きゃーきゃー騒いだり、なんて賑やかな交霊術だと
思いました。今でも行われているのかしら。もう10年以上前の話です。


友人たちはこれの正しいこっくりさんバージョンで遊んでいました。
かなり危険です。
夜中、手製の柄杓に紐をつけ、円陣を組むようにして何人かと座ります。
この柄杓の胴体に当たるところに、消し炭を取り付けるのです。
お花など用意して場を清めたりするようです。
ここからスタートなのですが、ほんとに何かが降りてくるようで
柄杓に何かが降りてくると、いろいろ質問をするそうです。
名前、とか、思いつく質問を。
柄杓の前に紙を用意すると、質問に答えて消し炭でいろいろ書いてくれるそうです。
友人の話を聞いていると
「日本人兵だったよ」とか「外国人だった」とかまあ眉唾な話も聞くのですが
私の見たい!という願望はかなえられませんでした。
危険だからという理由で。


私の在学していた学校の学生が、卒業論文にこの芸能を取り上げ
いろいろ調査していたようです。もともとのこの遊びも知らなければと
実際に試してみたようです。では、証拠にビデオに撮ろう!と
試したところ、何も映らなかった〜というまことしやかな話までありました。
残念なことに、私は先にこの話を聞いてしまっていたのです。
伝統芸能を見に行こう!と誘われた時に、どうせビデオに映らないんだからと
ビデオもカメラも持っていかなかった私。
会場についたら、芸能だったのでビデオにはちゃんと映るようで
地元のテレビ局もしっかり撮影していました。ああ、貴重な芸能、記録だったのに(泣)


急速に電気が普及し、電子楽器が伝統芸能に入りこみ、古くからあった地味な
芸能が急速に少なくなっていく中で、この伝統芸能は生き残っているのでしょうか。
できたらまた見たいものです。今度はビデオを持って。そして
一緒に大騒ぎをして。