ロボットとわたくし。 モーションキャプチャー初体験

都内の某スタジオで、踊る私をコンピューターに取り込む作業に協力してきました!

ある大学の研究ということで(しかも始まったばかり)
細かいことは置いておくことにします。

早めに仕事を切り上げて、約束していたインドネシアの友人と向かいました。
体の線が出る服装の指定。そこに、42個のセンサー(?)を張り付け
不思議なカメラが四方八方に立っている真中に立ちます。
スタートと終わりは必ず「T字に立つ](両手を型の高さに真横に広げる)事になりました。
あちこちぺたぺたとセンサーを取り付けられているおかげでちょと動きにくいけど、
これで決められたテーマを形に表すことになります。

私と友人とはインドネシアつながりですが、やってきたことがちょと違う。
彼は宮廷舞踊のような古典舞踊を身につけていますが、私は農村部で踊られるような
伝統芸能が中心。そして舞踊劇のような演劇の要素もかなり強い。
洗練された彼の動きと、日常の延長のような私の動き。
(もちろん本場の彼と、所詮外国人の私(泣))
用意してきた踊りも、宮廷舞踊と、伝統芸能
時間の関係で伝統芸能の私が踊ることになりました。
Yapong(ヤポン)というブタウィ地方の流れをくむ踊りです。

幅二間位のスペースに、壁にはモニターの映像が。
点と線のみで構成された私の図と、ビデオの通常映像が映し出されています。
目の前にお客様がいないので、モニター映像を見ながら自分の動きを目で確認しながら
踊ったり動いたり。点と線のみだと自分の体がどこがどんなふうに動いているのか、
客観的に見えてきて驚きました。ちょと腰を落としたり、背中をぴっと伸ばすと
背中が反っているのがわかる。上半身は前に、腰は少し後ろに。
ああ、こんな風に動いてるのねとモニターをチェックしながら踊っていました。

こうしたデータをどのように活用するかというのは、
将来ロボットと人とのコミュニケーションへ向けた動きの研究だそうです。
ただ単に会話をするのではなく、動きを含めたリアクションを可能にするために
アジア圏各地の舞踊やコンテンポラリーダンスなどから動きを採集していくようです。

与えられたテーマが抽象的で、なかなか表現が難しかった。
タイ舞踊では与えられた課題はすべて、動作言語としての表現があるそうです。
悲しいは、このポーズ、怒りはこの形。といった風に。
よその国はどうなんだろう?
大きい、美しい、といったものはもう漠然としすぎているし
愛情も悲しいも恐怖も怒りも「なぜに?」で解釈が変わる。
呼ぶ、与える、も対象はだれ?と考えると、普段どれだけ対象とする相手と
コミュニケーションをとっているのか、使い分けているかを再認識しました。
性別は比較対象として女性と決められていました。
参加者が全員女性だったからですが、これもまたキャラクターがよくわからないなあ
と漠然とした感じになってしまいました。
見ていたタイ舞踊の先生が、
「その動きは女性の動きなの?」と声がかかったものが怒りの表現。
ジャワ舞踊では大まかに分けても
男性…力強い(gagah)
   王子様のようなちょと線の細めなかんじ(halus)
女性…ちょと強めの女性(gagahというとちょとだけどrincahかな)
   姫様のような(halus)
というように分かれます。
女性だって、怒ったら鋭い動き、強い動きになるけどなと思いましたが
その辺のとらえ方が文化の差と思います。どのキャラクターを選ぶかも
大きな違いになってくるので、またちょと説明したり。
インドネシアという国は地域が違うとまたまたそれぞれ違ってしまうのでさらに複雑かも。
アジア各国、というよりもインドネシア各地で動きを採集しても面白いかもなと思います。

モーションキャプチャーは楽しかった!の一言です。
そしてここから抽出されたデータがどんな形で具現されていくかがもっと楽しみ。
アシモの話も民謡を踊るロボットの話も出ましたが、なめらかに踊るロボットを
見てみたい。その動きが自分の動きを取り込んだものだったらどんな気分だろう?
研究されている先生のお話にハッとしました。
「人の体は素晴らしい、ロボットを研究すればするほど人体はなんて
複雑にできていることか」
その複雑な機能を十分に使いこなしているわけではありませんが、複雑なヒトの一例として
参加させてもらったことに感謝です。

何かのチャンスでまたモーションキャプチャーをできることがあったら
いの一番でお手伝いさせてください!