春の嵐と夜桜と

今、外は春の嵐です。

帰りつく前に立ち寄った桜並木です。フラッシュも焚かずに撮りましたが
水の中に漂う桜のようにも見えます。
夜光虫みたいに発光しているよう。


吹きすさぶ風に咲いたばかりの桜は
けなげに見えます。大きく揺れながらも花びらをしっかりとつなぎとめて
白い、淡い紅の光を放っています。
南国では見られない、春の色。
日本にいるなあと実感する春の色です。
明日の風雨に耐えられたとしても、この土日で花吹雪になってしまうかもしれません。
それでも桜。待ち焦がれた桜。


外の嵐を聞きながら、明日の桜の姿を思い浮かべます。
花は散ってしまうだろうか。緑の若芽は飛び出す準備が間に合っているだろうか。
桜桜と騒いでいても、足元のスミレや菜の花、花大根も楽しんでいます。
春の嵐は季節をひとっ飛びさせます。寒いほうにも暖かいほうにも。
どちらの季節にも翻弄されつつ、緑のロケットを空に向かって準備する植物たち。
いとうせいこうさんのベランダーの中に出てきた「緑のロケット」
私もそう思います。
空に向かって、宇宙に向かって飛び出す準備。
その前に私たちに命の輝きを花という形で見せてくれる植物たち。
いつか私たちの生活の名残を埋めるべく、植物たちは力を蓄えているようにも思います。