あえて書きますが、断食です。欲望の塊の私たち

今日からイスラム教は断食です。
断食っていうと丸一日食べないのかしらと心配される方もいらっしゃるかと思いますが
太陽が上がっている間、飲み食いを含む、欲望を抑えることを断食というのだと教わりました。
イスラム教といってもインドネシアですから
コーランアラビア語で読むのではなくインドネシア語
または日本語で読むのですから
正確ではない、と言われてしまえばそれでですが
私が体験していた断食は
欲望を抑え、貧しい人たちを思いやる気持ちも必要だということでした


まずは断食からです。(もしかして今までに書いているかもしれないけど)
太陽の昇る前なら飲み食いOKです。
早いところは1時くらいから朝ごはんの用意。
ちょと多めに作っておすそ分けしたり売りに出したりいろいろあります。
だいたい3時くらいに
「サウール!」という声があちこちから聞こえます。
お触れ役がいるわけじゃありませんが、朝ごはんを食べそこなわないよう
誰かしらが村の中で声をかけているのだと思います。
(それか、夜警のオジサンたちかも)
慌てて眠い目をこすりながらベッドからとび起きて着替えて食堂へ。
初めての断食は、学校の寮に住み込んでいたので
ご飯は校内の食堂で済ませるのです。
断食といってもいつもと変わらない普通のご飯。揚げたテンペや豆腐に卵、ご飯。
それを食べて甘いお茶を飲んでから、改めて寝ます。
私は正しくイスラム教徒ではないので寝てしまうのですが
正しく信仰を持っているとそこから身を清めたりお祈りしていたりするようです。
やがて水浴びをする音、箒で掃除をする音、バイクや車の通る音。
だんだんと夜が明けていきます。


断食中も通常と同じ生活を送ります。
舞踊学校在学の私は、普通に授業をこなしていますが
おやつ時間やお昼時間を持て余すようになります。断食中なので何も食べられないからです。
もちろん水分補給もだめ。
欲望という欲望を抑えるため、煙草ももちろん厳禁。
禁煙したい人にはお勧めな時期でもありますが、煙の欲求はなかなか辛いらしく
「断食はするけど煙草は可」というお方も見受けられます。
この時期、女性は男性の欲望を誘わないよう、体の線がはっきりとする服を着なかったり
短いスカートをはかない努力をします。
男性は(すべてじゃないけど)なんとなく女性を見つめなかったり
煽情的は絵を見ないようにしたりとそれなりに努力をします。
面白かったのは、若い付き合っていた二人が断食の時期になんとなくデートを控えていたこと。


夕方近くの踊りの授業には汗もかかず、けっこう体もへたばってくるのですが
18時前にサイレンが鳴り響き、断食が終了!という合図があります。
近くのマスジッド(イスラムの礼拝所)の子供たちが
「UKI、ayoh〜!」と迎えに来てくれて、なぜだか子供たちと一緒にこの断食明けを迎えるというのが
初めての断食の時のお楽しみでした。
小学校高学年の男の子たちは
「僕、まだ断食続いてるんだよ〜!」と私に自慢話をしてくれます。
こんな小さい子供たちが… と感心していました。
断食中に彼らはおやつを買うためのお金をちょこっと貯めていたりします。


断食明けは、みんなで唄をうたって感謝をして(なぜかそこから参加する私)
暖かい甘〜いお茶とちょとしたおやつでおなかを落ちつけて
自分の学校に戻って夕ご飯という一カ月。
女性は月のものがあったりするのでその時はお休みしていいことになっています。
体調が悪い時も休んでいい。そして休んでしまった何日か分は後日行う形になってる。
この時期はみんなお祈り熱心で、マスジッドに通って話を聞いていたり
貧しい人たちに寄付をしたりします。そう、ちいさな子どもたちも
ちょこっとでも貯めたお金を寄付していたりします。えらいなあ。


断食はインドネシアにいる時は一緒にやっていました。
ときどき、休んでしまったりするけど自分のできる範囲でしていました。
ほんのちょっとなんだけど
小銭を貯めておいて、ストリートチルドレンに配りにいったり。
日本に帰ってきてからは、何か欲望に負けそうになった時
(すごい書き方ですが、ちょとおいしいものをたくさん食べたくなったりした時のことです)
「今、断食なのよね」と少し欲を抑えようかなということにしています。
新月から新月にかけての一カ月。
イスラムっていうと、テロとか、なんとなく怖いイメージがありますが
断食って、そんな面もあるんだよと少しだけ勇気を持って書いてみました。