バリの結婚式のこと

結婚式にきてくれない?

というお誘いを戴いたのは去年の今頃のお話でした。
いろんな出来事と事情で急な結婚話を聞かされてから、ほぼ一年。
日にちも決まり、ほんとにいくのか、あたし
と思いつつも、この顛末を見届けることは必要だろうと
無理を押していってきました。

夜中に現地に到着したので
結婚式の前日にあたる翌日は、こちこちと働くことになりました。
まず、自分の練習(笑)
それからウェディングドレスに袖をつけること。
直感を信じて(失敗は許されませんから)布を裁ち、手縫いで袖を縫い付ける。
仮縫い時間なし。一発勝負。
それからドレスにビーズを縫い付ける。
途中までつけてあるのですが、それを完成させなければなりません。
そんなことをしていたら、会場にリハーサルをしにいこう
ということになり、バイクの後ろに乗って(もちろんヘルメットなし)
会場に着くと、小さなホテルの中庭で結婚式をすることになったというのが
わかりました。ということは・・・

ホテルの一室を借りて、そこで準備と泊まることになり
最初にやったことは、ヤシの葉っぱの加工でした。
写真を撮る暇もなく、ヤシの葉を少し切って折り曲げて、飾り物を作ります。
その飾りに、また花をつける。ペットボトルを半分くらいに切り取って
バナナの葉っぱを切って入れて、緑色のボトルにして花を浮かべる。
これで通路を作ります。(結構作りました・・・)
バナナの葉っぱを洗って拭いて、はさみやカッターで切って、時にはホッチキスを使って
お皿や敷物を作る。途中夕ご飯を食べましたが、また作り物続きをし
新婦の両親とともに、役割分担をしながら
バナナの葉っぱと格闘。それが終わると、途中だったドレスのビーズに戻る。
寝たのは1時過ぎだったのではないでしょうか。


朝は6時前から会場の飾り付けと椅子や食べ物の準備など。
ほんとに手作りの結婚式でした。
おそらくいろんな事情があって、新婦が仕切っての式でしたので
直前まで、そして始まっても、あれやこれやとありました。
それはその結婚を支えた新郎新婦の友人たちの手で解決されました。
式に出て、急いで着替えてジャワ舞踊のゴレという踊りを踊り
片付けたあとは、バリ舞踊(日本人二人が踊るチェンドラワシ)を写真に収めて
あっという間にタイムアップ。
12時には開場を後にして、私はジョグジャカルタに向かわなければならない!
式は12時に終わり、片付けもあったはずなのに、新郎新婦に挨拶をして会場を後にしました。


いろんな結婚式をみていますが
これもあり、かと思いました。(いろんな意味で)
宗教が重要視される国で、宗教にあまりこだわらない結婚式。
日本人にとっては違和感がありませんが、この国においてはかなり違和感があります。
それに、インドネシアで結婚式をして、(インドネシア人とカナダ人ですが)
場を寿ぐ踊りを踊るのは、日本人でそれも現地の踊り。
不思議な感じがします。バリでジャワの古典を踊ることもとても違和感がありますが
(たぶん、その場に居合わせた人たちみんな、初めて見たと思う)
この、ごちゃ混ぜ感が、インドネシアらしさかもしれません。
あるいは、バリらしさ。
この日の共通言語は英語でした(爆)お客様も地元より外国人が多かったし(私も含め)
よく聞いていれば、インドネシア語、ジャワ語(はい!)、日本語、英語にヨーロッパのどこかの言語が
飛び交う状態でした。
なぜ地元のインドネシア語を共通言語にしない??
日本人以外の外国人は、英語や自分の言語を教える仕事の人がそれなりにいたのではないか。
そうなってくると地元の言語をあまり覚えないということがあります。
言葉をしらないと、その土地のことを知るチャンスも減るかなとも思いますが
地元の人の憧れる外国感情みたいなものもあるのかしらん。
とても不思議な結婚式でした。
そしてこの国の将来の一面をみたような気にもなりました。
多様性に向いているこの国は、こうした環境も受けいれながら
さらに変化をしていくのだろう。
空港で聞いた、めちゃめちゃ早い日本語。
空港の職員が覚えた日本語を弾丸のように早口で投げかけるので、何を言っているのか
さっぱりわからない。
いらっしゃいませ。
この一言を聞き取るのに驚きを要しましたが、でも使いこなす柔軟性かもしれません。
変化、多様性を受けいれるスピードの速さ、柔軟性が
この国の持ち味であり、私の受け身になってしまう部分であり
情報が多様性を極め、その速度がますます速まる中で、この国はこの先
飛躍的に伸びていくのだろうなと思いました。


ちょとだけクタの町を歩きましたが、聞こえてくるのは、中国語、韓国語、英語に、ヨーロッパ言語。
中国語がとても増えた!姿勢の悪い黄色人種は(アジアのってことであえて書きます)は
大抵が日本人。堂々としているのは中華系かな。
中東も含めて、バリやジャカルタで見かける人種の多さといったら
ほんとに人種のるつぼという感じです。
こんなところで商売やなにかで勝負するには
多様性を受け入れること、そして渡り歩けるだけの言語能力が必要です。
白色から茶褐色まであらゆる肌の色があり、宗教があり、国があり、言語が混在している中で
私はどうあり続けるのだろう。
英語が、なんてもにゃもにゃいっている余裕はまずない。
あとは飛び込むだけ!


と、思いつつ、日本に戻ってきて
日本語の環境にほのぼのしています。
アレルギー症状みたいなのが今出ているのは、言語アレルギーにふれてしまったのかしら(笑)
いやいや。
飛び込める体力と気力のあるうちに、飛び込みたいです。
飛び込んだら、アレルギーだなんだなんていってられなくなるから。
生きるかなんとかになってきますから。
早く、えいっと飛び込みたいです。