ちいさなひとの大きな勇気

体調も少し良くなってきたので、昨日はまた通訳業務でした。
約束をしていた人は男性だったのですが、一緒に小さな女性が。
おとなしげで声も小さく、イスラムの布をかぶった女性でした。
同じ会社の方という紹介でしたので、特に気にもしませんでした。


契約を交わす業務だったので、少しつめないといけない話もありましたが
こちこちと話を続け、お互いに同意を得たところでこの会談は終了、のはずでした。
ところが。
男性のほうから、彼女は日本文学を専攻して卒業した人なのですよと改めて紹介があったのです。
え?
ちょと待った。これは入社したい!という話ではないのか?
仕事仲間にわからないようにインドネシア語でその意図を聞いてみると
日本語の勉強を続けたい、だから日本語を使って仕事をしたいけど
日本語能力試験の資格は持っていないから不安なのだが
気持ちだけでも伝えたい、とうことでした。
日本語に切り替えてみると、すこしたどたどしいところはあるけど
日本語は理解できる、話せるひとでした。
男性のほうも、同じ同僚で夢があるのならば、その夢をかなえてあげたい
だから私たちと取引が始まった時、真っ先に彼女に伝えたとのことでした。


私たちにとっては、日本語ができる人材は欲しい人材でもあります。
じゃあ採用しましょうという返事は今はできないけど、次回採用面接があるから
その時に私たち待ってるよ!ということになりました。
公正に判断できる環境で、入社してください、と声をかけたほうがいいという判断です。


身長が150センチもない、ちいさな彼女でした。
まだ若いし、奨学金をとって日本語ができるようになりたい、いつか日本にいってみたい。
という夢を理解し、応援してあげようという男性の考えもいいなあ。
それから、私たちのチームがインドネシア語、英語でコミュニケーションが取れることに
驚いたという話がありました。
たまたまなのでしょうけど、彼女たちのチームが対応した日本人チームは
日本語だけだったそうです。
日本語を勉強した人から、インドネシア語ができるといわれるのはちょとうれしい。
でもそこに甘えてはもちろんいけない訳で
もっと勉強しなきゃいけないことがたくさんあります。
これから彼女のような人にもっと会えるようになったらいいなと思います。
お互いに勉強し合っていけるように。


日本に帰った日本語が勉強できるような本を買ってこよう。
私も日本語を少しでも教えていけるようになにか準備しよう。
10年以上前、ジョグジャカルタに住んでいたころの夢が
日本語を教えることでした。こんなに時間がたってしまいましたが
以前の夢にもう一度巡り会えたような気分です。