鼻に従う

仕事で必要な書類をもらいに、一度帰宅してから夜てくてく歩いて、電気街まで向かったのです。


社宅から市場を越えた先の電気街はすでに半分以上がシャッターを閉めて、少し寂しい風景になっていました。
書類の依頼をしたあと、小雨の中を足元に気をつけながら歩いていたのですが、こちらの友人から、近くにギョウザ屋台があるよ〜と教えてもらったのです。

知らない町で、教えてくれた通りの名前もうろ覚え。それでもギョウザの一言につられて暗い道をまたてくてく歩いてみました。
看板のない屋台を探すのは大変かな。
がらんとした道の真ん中で、私の鼻が反応しました。お腹のすいた時の鼻の良さは、自慢したいです。匂いにつられて辿り着いたのは、通りに半間ほどの小さなお店というか屋台というか。
通りに面している小窓からギョウザの香りが漂ってきていたのでした。


ごついおじさんがぶっとい指でギョウザを包み、ひょろんとした若い男の子がギョウザの皮を丸く広げていきます。注文してから皮を広げ、包んでいく様をわくわくしながら見ていました。畳一畳位の客席で非常にコンパクトな空間です。台所も丸見え。縦に二畳位でしょうか。


ギョウザの焼き上げる匂いに幸せな気分になりながら、出来上がりを待ち、手にした熱々のギョウザ、10個は30,000ルピアでした。
無愛想に対応していたおじさんが、ギョウザを手渡してくれた時ににこりとしてくれたのを見て、きっと美味しいと確信しました。


袋から立ち昇る温かさと共に、また歩いて社宅まで戻り、温かいギョウザにかぶりつきました。日本で食べるギョウザとはまた少し違いますが美味しかったです。
錦糸卵にニラ、春雨、鳥肉。タレは甘酢でニンニクたっぷり。
これだけでお腹いっぱいになって、そのまま机で寝てしまいました。満たされるって…(苦笑)