踊りのこと。中部ジャワのPekalongan

少し前のことなのですが、 Taman Mini で見てきた中部ジャワのPekalongan地域の
踊りについてです。


まず、最初の写真は結婚式のスタイルを撮ったもの。
何故か男性が黒のサングラスをしている…
このスタイルは伝統のスタイルということなので
なぜ、サングラスをしているのか、非常に気になりました。
たまたま、取材をされてしまったので(外国人が見に来ている!というだけのインタビューだと
思います…そもそも、観光アピールのような行事でしたから)
記者の方に(この方はPekalongan生まれの方でした)聞いてみると
「サングラスをかけると、男性がたくましく格好よく見えるから」
というフツー(笑)の答えが返ってきました。
おそらく、オランダの統治下(日本の統治下も含め)のころ、サングラスの文化が
海外から流入し、それがかっこいい!ということになり
結婚式に使用されるようになったかと思われます。
サングラスの使用は、踊りの中でも各地で見受けられます。
ジャカルタやジャワ、確かスマトラでもあったはず。
踊りや儀式の際、トランス状態に陥ったダンサーにサングラスをかける
(男女、両方あります)というものがあります。
トランス状態に入ってしまうと、白目をむき、時には泡を吹きながら
踊っていることがあります。目を保護するためにも(見た目にも怖いし?)
目を布か何かで隠していたのかもしれませんが、サングラス(もちろん黒です!)のほうが
もっと簡単に隠すことができ、見た目にも格好がいい…
ということなのかなと思います。
この手の踊りや芸能は大好きなので、Pekalonganにもあることがわかって
(しかも結婚式!そして今でも!!!)ちょっとうれしくなりました。

次の写真は、Tari Batik Jelampurang?
Pekalonganといえば、様々な色のバティック!と思い浮かぶのは私だけかもしれません。
この地域は、中国、アラブ、ジャワの三つの文化がcampur(チャンプール)
入り混じって生まれた文化というお話でした。
中国的な明るい色合い、文様などはジャワやアラブなのかな?


バティックの生産で有名な地域なので、バティックの踊りもある。
腰の布の巻き方がジャワ舞踊とまた変わっていて、
おなかのところに布の真ん中が来るようになっていて、
布の両端は背中側にあります。背中の真ん中でピンか何かで止めて
布の両端は金魚のしっぽのようにひらひらしているのです。
こんな使い方があったんだなあ。中国の朱のようにきれいな赤い布でした。
布の長さは2m。ジョグジャカルタやソロは(ここもジャワなのですがあえて…)
布の長さは2.5m〜2.25mが平均です。
2mというのは短い感じですが、短いからこそこんな巻き方が可能なのかと思います。


次はMalawisというイスラムの音楽でした。
小さめのタンバリンをいくつも使用してリズミカルかつ、ダイナミックな音楽です。
そこに短調の歌声が入ります。
ここで男性の踊りがありました。
見ていておやっと思ったのは、スマトラ地方のイスラムの踊りの振りによく似ていたからです。
下半身、特にステップを中心とした振りには、
Tari CapingのようなS字型を描く移動ステップや基本ステップがそっくり!
距離は離れていても、伝播の結果なのかなあと興味深く見ていました。
後で振付についてインタビューがありましたが、自分たちで振付をしたとのこと。
Malawis自体は音楽が中心、新たに振りを導入したということでした。
今ならインターネットや何だかで、どんな振りがいいかなんて検索できます。
こういう形の伝播が発生しているのかしらと今の時代に合わせて生きている芸能なんだと
興味を持ちました。(振付、踊り手は全員が若手です)

この踊りは
Tari Singtren Garapというものです。
garapというのは作るという意味。新たに創作されたものでした。
伝統芸能としてSingtrenというものがあり、これはトランス状態に入るものだそうです。
なので、トランス状態になった踊り手はサングラスをかけるようです。
実際に作品の中ではサングラスをかけます。最初からかけているわけではないのです。
これは中央ジャワのDolalakみたいな踊りかなあと思いました。
動きとしては同じ中央ジャワのBanyumas地方と非常によく似た動きが見受けられること。
しかし、基本の手の形は中部ジャワの手の形。
指先の使い方は、やや指が伸びた状態で手首を回しているかな。
ほかの指がすんなり伸びている状態で、小指の関節が少し曲がっている人が多くて
その不思議な形が美しい造形美に見えました。
(こんなことで喜ぶ人も少ないかと思います、どれだけ好きなんだか…)

観光アピールのような行事でしたので
Pekalonganのお役所の方も結構出席されていました。
男性ばかりでしたが、踊りが始まったり、音楽が始まったりすると
(Malawisの時など)いそいそと舞台に上がって一緒に踊っている風景が印象に残りました。
踊りが好きなのです。
リズムに合わせて体を動かす。それくらいの振りなのですが
楽しみ方が素敵!誘われたら私も舞台に上がってしまったかもしれません。



本当は東ジャワのBanyuwangi地域の踊りを見る予定だったのですが
ついつい、知らない地域に引っ張られてしまって、Banyuwangi地域は見ることができず…
同じ時間帯に見たいものが重なってしまって、残念なのですが
毎週何かしら行われているので、しばらくTaman Miniには通うことになりそうです。
日曜日だけではなく、何か大き目な行事の時は平日や土曜日の夜にも
開催されています。今週末にも見に行きたいものが!
でも見に行きたい演劇もある…
どちらを見に行くか思案中です。


田舎のもっとのんびりした環境で伝統芸能が実際の生活に息づいている状態で見てみたい。
これが本音ですが、なかなかその環境にたどり着くのがむつかしい。
しかも今だからこそ、心の余裕を持って芸能や踊りを見ることができる。
来月からはまた環境が変わりますからしばらく見に行きたいもの、やってみたかったもの
作ってみたかったものに取り組む心の余裕がなくなると思うので
今のうちに悔いのないように楽しんでいます。