シンガポール メーカーフェアに行ってみた。

7月の断食明け大祭の前に、シンガポールのメーカーフェアに行ってみました。
イタリアのミラノに行きましたが、シンガポール経由のチケットだったので、寄り道して足を運んできました。
小学校の廃校を利用したメーカーフェアは、「何か作ってみない?」という初めの一歩を踏み出してみようかな、というこどもやおとな向けのような、和やかな雰囲気でした。ノコギリ使ってみよう、LEDランプ光らせてみよう、みたいなとっつきやすいものが目について、またこんなの作ってみたというお母さん達の布小物からプラスチックのスプーンでお花作ってみたりと日常の目線で、こんな工夫出来た!というものを見ることが出来て、ほっとするような、敷居の低さがありがたいところでした。

ありがたい、というのは何かあっと驚くものを作る、最先端のものを展示、紹介するというような、その世界の人じゃないとわからない、理解できないような技術だけじゃなく、作ることが好きな人達の集まりに来たという安心感です。LEDランプのコーナーは、はんだ付けが楽しめました。スイッチもない、ランプと電池を繋げるだけのものですが、初心者にとってはこういう時じゃないと見て触って体験できないものです。日本ではんだ付けが出来るカフェがあるようですが、おそらく一般の人にとっては身近なものではないと思います。それを丁寧に教えてもらえるなんて!

またリボンや端切れで飾りを作ってそこにLEDランプも一緒につけてしまって、電池にランプの先の針金を接触させれば光っちゃうものもありました。それだけかもしれません。でも最初の一歩はまさにそこから。電池が切れてしまえばそれまでのものですが、その先に考えるのは、スイッチがあったらなあ、電池交換できたらなあ、もっとこんな風に光ったら、あれに取り付けたい、こうしたいああしたい。どんどん欲が湧いてくるものでしょう。その初めの一歩になるのです。
ミシンもそうです。持ってないけど何ができるんだろう?からスタートして、服を作りカバンを作るようになりましたが、誰かが作ったものを目にして、「これなら自分でもできるかな?」と失敗覚悟で作ってみる。そのようなきっかけをたくさん用意されていたのがこのメーカーフェアでした。

もちろん、普通なら手が出せないような技術を持っている作品もあります。ドローンにカメラを積んで、頭に取り付けた機器で見たい方向を自由に変えられるような、空を飛んでる視点を味わうことが出来るものもありました。これが手作りなんて。火山や自然を撮影出来たら!

学校の階段には、一段ごとに九九が書いてあり、苦労して覚えた身には羨ましい限りです。こういうのがあったら少しは算数が苦手な私でも楽しく覚えたかも。教育のありがたさを身にしみることが海外に出てみると何度もありますが、教育の質というものもまた大きな影響を及ぼすことを感じるこものでした。生活の中で出会う算数、良いなあ。

私が工作が好きになったのは、祖父の影響でしょう。数えるくらいしか会っていませんが、樽職人の祖父にカンナの使い方、釘の打ち方、ノコギリの使い方を教わったのが小学校低学年の夏休み。こども心に覚えていますが、容赦ない教え方(笑 今では感謝です)でその一度で叩き込まれたことを今でも大切にしています。一日中廃材で船もどきを作り、その後曲がった釘を金づちで叩いて直し、カンナの使い方、研ぎ方を教わって。見よう見まねでできることと教わること。

おとなになるとなかなか教わる機会に巡り合わないのですが、このメーカーフェアは教わる楽しみがあります。恥ずかしがらずに初めの一歩へ。こどもに混ざって、おばさんが参加しても良いかと思うのです。気張らずにね。