なんでこれを作ったんだ? Maker Faire Singapore 2016で。

何度か足を運んできたMaker Faireですが、出展する側は初めてです。しかも英語圏だし。
心配しても仕方ないので、会場に行ってみると、多くの出展者が準備をしていました。有名企業も出展していますが、私の目指すはNico Nico技術部。初めて会う人達と挨拶をして、それぞれ何を出展されるか見せていただきました。私の好きな、VRVirtual reality)で空から落下するような体験を味わえるものは衝撃でした。視覚でしか体験していないはずなのに、全身で体験しているかのような感覚に襲われるのです。初めのぴょん!と跳びあがって着地までが長い!そして着地した瞬間(現実にはとっくに着地しているのですが)膝と足首にずしんと地面がぶつかった衝撃が伝わるようなショックを味わいました。もう一つは自分がいる建物の中に上空をついっと小さな魚の群れが泳いでいくのです。おとなだから立ち止まることができたけど、自分がまだこどもだったら、絶対魚の群れを追いかけてしまう。(実際追いかける子供達あり)声が出てしまうほどのわくわく感です。
そしてお隣にいらっしゃった方は、東北大震災の体験を生かして、学校から家まで子供達が帰りつくまでのポイントを通過すると、親や学校に連絡が行く仕組みでした。私がジャカルタで、こんな仕組みがあったらいいのに、と考えていたものがすでに目の前に展示されていました。家と学校が離れている子供達の登下校を見守るこのシステムは、二度とあんな震災に襲われたくない、でもいつかあるかもしれないから備えるという、日本だからこそ、実際に使われて欲しいなと思うものでした。知識のない私に丁寧に教えていただいたことがあとで役に立つことになりました。
そしてもうひとつ。キーボードをたたくと、光の文字がスクリーンに飛び出すものでした。これが楽しくって!色が変わり、音符がつむぎだされるように、文字が飛び出していくのです。どうしたらこんなこと思いつくんだろう?実は光の文字が飛び出していくように見えるのは、種も仕掛けもあるのですが、作者が設置をしていきながら説明してもらえる、それでも私にとっては魔法でしかない仕掛けでした。

展示の内覧会があり、会場である大学の先生が足を運んできてくださいました。
その時、私の明りをみて、「なんでこれを作ったんだ?」と聞かれたのです。そんなことを聞かれるとは思わなかったので、何も準備をしていませんでした。「何か作りたかったんだもの」そんな答えしか出来ませんでしたが、今でも考える問いになりました。何で作ったんだろう?
手を動かしたかったこと。持ち歩ける灯り、身に着ける灯りが欲しかったこと。
参加してみたかったこと。作るって何だろう?私が出会う魔法はどんなものなんだろう?どうしてMaker Faireにある作品は、実用性のないものも、まだまだこれからのものも、出展されるんだろう?何でものつくりの人達は参加してみたくなったんだろう?何で?
という様々な何で?が知りたくなったのかと思います。それをほんとに知りたいと思ったら参加するしかない。「何か作りたかったんだもの」だけではなくて、作りたかったものを作っている人達がなんでそれを作ってしまったのかが知りたい。ということは、最初の、「なんでこれを作ったんだ?」にたどり着きました。それは「好奇心」という名前かもしれません。