つみきのいえ

この作品が、全国に知られるようになりました。


http://plaza.bunka.go.jp/festival/2008/animation/001039/


先日の文化庁メディア芸術祭で観たとき。
いろんな展示品の音、人々のざわめきの中でも、すうっと話の中に入っていきました。
水の下に眠るつみきのいえ
それは心の中に沈みこませてしまっている記憶でもありました。
日々の生活で浮き上がることのない記憶が
水の中で風化せず、生き続けているような感じでした。
老人が、今はいなくなってしまった家族を思い出すように
私もまた、なくなってしまった家族、友人のことを思い出していました。
見る人によって思い出されるものは個々違うものだけれど
普遍的なものは変わりません。
迫りくる水は、過去に消えていった地上の膨大な記憶であり
人々の歴史であり、私たち人類の心の奥に蓄積されているもののような気がします。
温暖化のもたらすものによって、水面の上昇とともに
記憶が沈められていく。その水は、恐れの象徴ではなく、友人のように
老人と寄り添っています。


もう一度、ゆっくりこの作品を見たいと思います。
できれば、世代の違う人たちと。
生きていくことは死んでしまうことに向かっていること。
いつか、この世界からいなくなってしまうこと。
あの老人もまた、いつか水の中に沈んでしまう。
いろんな人がいろいろにこの話を、自分の中に取り込んでいくでしょう。
ゆっくり作品のことを考えたいと思います。
私は老人が働く姿が好きでした。